ウディタの可能性の追求にはさまざまな切り口があります。RPGエディターですが、シューティングやアクションといった別ジャンルを作ってみたり、根本の技術面でできそうにないことを実現していたり。今回はその試みのひとつ、疑似3D系統の傑作をご紹介します。
まさかの東方×3DアクションRPG
東方そのものの説明は、なくてもいいかなと思えるぐらい有名なあの東方です。
弾幕STGという敵弾と音楽で魅せる縦シューティングに乗せて、幻想郷という異世界を舞台に紅白の巫女さんや黒い魔女さんがさまざまな異変解決に乗り出す作品シリーズなわけですが、二次創作ゲームもそれこそ膨大に作られており、東方二次ゲーだけですべてのジャンルのゲームが網羅される勢いでした。
でも、「これは無かったかもなー!」という一本が、この第N本舗さんの『東方少女綺想譚』。
ドットやUIにウディタっぽさ残しながらも、ほぼフルスクラッチされたシステムはクォータービューの疑似3D。
この3Dマップをジャンプなど駆使して動き回り、戦闘は一見ふつうのRPGですが、攻撃の瞬間にボタン入力することで有利になったりと高いアクション性を秘めています。それでいて全体的な雰囲気はポップでコミカル。
まぎれもなく、スーパーファミコンの名作『マリオRPG』のリスペクトです。
マリオと東方の見事な融和
東方はもともとシューティングゲーム。
3DRPG化にあたっても、射撃の要素を違和感なく取り入れてより快適なアクションを実現してくれています。
ザコが多いけど戦いたくないなぁ……なんて時は射撃でやっつけてしまえるんですね。射撃もノーコストではないため、STGとRPGのどちらの対処をするかが問われ、ゲーム性向上に一役買っております。
また、『マリオRPG』リスペクトとしての「ジャンプ」も、東方の主人公・霊夢の能力(「空を飛ぶ程度の能力」)とマッチしていて、自然に馴染んでいます。
つまり、ちゃんとマリオっぽいし、東方っぽい。盤石の良いとこどりです。
戦闘時のボタン入力などはゲームパッドを前提としており、キーボードでがんばるよりはスーパーファミコン風のあのゲームパッドを用意することをおすすめします。プレイが100倍たのしくなる。
RPG的な戦闘ではレバガチャや連打を行って進めるため、通常のコマンド戦闘にはないアクション性がプレイを白熱させてくれます。
マニュアル画像も、わくわくするような昔の紙の説明書を意識していて、スーファミに熱中していたあのころの感覚がよみがえってくること間違いなし。
ここまでのシステムともなると、心配なのは処理の重たさ。
近年ではUnity等の登場で、同人ゲームでもかなりのマシンスペックを要求する3D作品が増えています。本作も自分のPCではカクつくのではないか……とのご懸念はごもっともです。
本作もジャンプして台に乗ったり、宙に浮かぶアイテムをとったりの感触もしっかり奥行きのある3Dですから、ウディタでやるとなれば膨大な計算処理をしているはず……
ですが、動作速度も問題ありません。
すいすい快適に幻想郷の冒険を楽しめます。
9年前のオンボロノートPCでギリギリ動くので最近のPCならノートでも恐らく問題なく動くと思います
作者さんがこうおっしゃっておりますから、おそらく負荷軽減のために相当の苦心があったのでしょう。
さらなるアピールポイントは
東方は原作が長大なシリーズだけに、キャラ数が非常に多いですね。ポケモンライクな東方二次ゲーが作られるぐらいです(『幻想人形演舞』)。
東方二次においてはどこまでのキャラをカバーするか、がファンにとっては大きな関心。
操作可能キャラは博麗霊夢、古明地こいし、比那名居天子、十六夜咲夜、八雲紫、鈴仙・優曇華院・イナバ、河城にとり、ドレミー・スイートの8名!
ここも抜かりがないですね。
広く各シリーズから操作可能キャラをピックアップされています。操作可能キャラでこれですから、敵役だったりNPC役だったりでさらに大勢の登場が約束されています。
さてさて、さきほど処理は問題なく軽いと書きましたが、重量級なものがありました。
うん。ビッグサイズ。