自作戦闘、自作メニュー……つまりシステムのフルスクラッチはウディタユーザーの憧れですね。完全自作でなくとも基本システムに手を入れて、ちょっと一工夫もしてみたかったり。
ウディタでハイレベルなシステムを構築するならキモはコモンイベントであり、そうしたコモンを覗かせてくれる作品はウディタではオープンソースや非暗号化などと呼ばれます。
つまり、「マネしたければ、マネてよい」と言っている。自作システムに挑むならば、ぜひとも押さえておきたい名作オープンソースのご紹介です。
ウディタ非暗号化データの覗き方
ウディタ本体をDLして、Editor.exe(青いオオカミアイコン)を用意しましょう。
これを非暗号化ソフトのフォルダ(赤オオカミアイコンと同じ場所)に入れて起動するだけです。作品ごとに使われたウディタのバージョンによって挙動が異なるかもしれない点には、ご注意を。
ファミコンライクを目指すなら
ウディコン第10回総合16位『クリッターズ』
ファミコンライクのレトロゲー志向作品は数あれど、グラフィックにとどまらず、描画処理の部分からレトロ感を再現した力作はそうそうありません。ダウンロードページはこちらから。
そんな本作、「本職さんですか?」と思うような、プログラムらしいプログラムです。ウディタのサンプルゲーム(基本システム)のソースはかなり日本語のように読めますが、本作ではいかにも「英語~!」という具合。
読み解きには苦労しますが、しかし、これが理解できれば他の追随をゆるさない「ファミコンライク」の再現が可能となれば熱も入ろうというものです。
さらにまた、英語メインでソースを書ければローカライズに強くなるという利点がありますね。
ハイレベルな総合力
ウディコン第8回総合6位『Defence saviors‐ディフェンスセイバーズ‐』
タワーディフェンスという難関ジャンルを、クォータービューの美麗なビジュアルと軽快かつ快適な処理で実現した快作。
通常配布の状態は暗号化されておりますが、こちらで特別に非暗号化バージョンが公開されました。なんとオンラインアップデート機能まで実地で学べる良教材。
http://alittlesnowfairy.blog.fc2.com/blog-entry-19.html
こちらの記事でもより具体的に、なにがどうスゴいのか書かれております。立ち鏡コモンの作者さんの解説。技術力ある方が技術力ある方の紹介をしているわけですから、読み応えは抜群です。コモンのスクショ掲載も、こちらが丁寧でオススメです。
絶妙爽快バトル
ウディコン第5回総合3位『影明かし』
作者さんのページが消えてしまったので、ダウンロードはウディコン公式のバックアップ(ondrive)からどうぞ。詳しくはこちらの記事にて語っております。
【追記】作者さんがこちらでアップロードを用意されておりました。どの作品もおすすめです。
【これまでにつくったゲーム】
◇ダーリン菊一文字(VIPRPG紅白2017 No.35):https://t.co/suj3ITSdiZ
◇影明かし(ウディコン第5回 2013年):https://t.co/OqAiSBpaOv
(※DL)https://t.co/UHT9WgPP70
◇他もろもろ:https://t.co/7XGQj3S3tvhttps://t.co/Lbg9GIiCh2 pic.twitter.com/FYG38R5gHM— Foomal (@Foomal) April 30, 2019
上記『クリッターズ』に比肩するプロっぽいスマートさです。素人にはいささか難解ですが、サービス精神あふれる命名とコメントの数々は、学べてほっこりできる楽しいソース。引き数や返り値の関係をつかむにも良さそうです。
美学ある記述
ウディコン第7回『ツギハギの行方』
ローグライクADVなるジャンルを標榜する実験作です。ウディコン第5回で『羊山ゴートの冒険』を投稿された作者さんですね。ダウンロードはこちらから。
挑戦的な試みだけに、ゲームそのものとして遊ぶにはボリューム感がやや弱いものの、こだわり抜いた操作性とソースコードの美しさは(明快さ)一見の価値があります。お手本のような充実システムとそのレシピ集なわけですね。とにかくゲーム触ってみてください。ヌルヌル動くUIやシステムは、きっとマネたくなるでしょう。
SRPGを作るなら
『システリアの冒険』ほか
ウディタでSRPGを志すならば必修の名作。ここからダウンロードできます。
SRPG自作のキモとなるのは移動まわりの計算(移動力、地形コスト)。通常のプログラムならば「再帰処理」というものを使うところですが、ウディタにはその機能がありません。
ではどうするかという時に、文字列変数を応用したオーソドックスでもあり、アクロバティックでもある妙技を駆使しております。開発のウディタも2010年の古いバージョンですが、今でも通用するアイディアが満載。SRPGとしてもおどろきの多機能さです。
ちょっと趣旨がズレますが、SRPG開発ではこちらも参考になるでしょう。
WOLF RPGエディターで利用できる大規模コモン「クォータービュー式SRPGシステムVer2.62」
TinySRPG アルゴリズムブック JavaScriptのコードで学ぶ シミュレーションRPGの処理
筆者も製作に挑戦してみました。よければどうぞ。
レジェンド的傑作
ウディコン第2回総合1位『Gravity』
こちらでも紹介していますが、ウディタ黎明期のレジェンドですね。通常の公開物は暗号化、つまり中を見ることはできませんが『WOLF RPGエディターではじめるゲーム制作』掲載の特典バージョンでは、ソースを見て学ぶことができるようになっております。
同書では『Gravity』の他にも同様に力作ウディタゲームのソースを読むことができ、初心者向けな書籍ではありますが、上級者でも参考になる情報が詰まってお得です。