ソフトウェアやプログラムで、暗号化せず中身がオープンに見えているもののことをオープンソースと言います。
「高度なソースコードに学んで、名作を生みだしたい」だとか「やりたいことがあるが、あと一歩技術が足りない」という方にはまさにぴったりのガイドブック。
ウディタにもそういうものはありまして、今回は「遊んでよし学んでよし」の傑作RPGのご紹介です。
ハイスピードひとり旅RPG『影明かし』
Foomalさんのウディコン第3回総合2位『武神の目覚め』および、その進化版とも言える第5回総合3位の『影明かし』。作者さんのページが消えてしまったので、ダウンロードはウディコン公式のバックアップ(ondrive)からどうぞ。
追記:作者さんのTwitterからアップローダーへの案内がありました
DQ1を思わせるオーソドックスな勇者のひとり旅RPGですが、実際はその超ブラッシュアップ版です。
レベルアップや装備やスキルを新調した直後の、腕試しのワクワク。それが常に続いて、夢中になっているうちに完走しているという、フリーゲームならでは軽快なハイテンポ戦闘が魅力です。
シンプルそうに見えて至れり尽くせりの爽快な自作戦闘は、かなりの技術力とゲーム哲学をうかがわせます。
ウディコンの戦績ですでにおもしろさはお墨付き。『影明かし』はウディコン第5回において熱中度部門では堂々の一位に輝くという高評価です。バトルが熱くてストレスフリー。ハマらないわけがありません。
そしてこの作品、なんと暗号化していないのです。
つまり、オープンソースとして公開されているんです。ゲームフォルダのなかに青いオオカミアイコンの Editor.exe を入れて起動してみるとコモンイベントやデーターベースの作りを見て学ぶことができます。
「コモンは呼び出すだけのもの」という常識を打ち破るような引き数と返り値の使いこなし。はじめはなにがなんだかわかりませんが、洗練されていてかっこいいことはわかる。そんな名人芸です。
ウディタも、はじめのうちは借りてきたコモンを入れるのでやっとですよね。
次第にわかってきて、凝ったことを考え出すとコモンイベントを自作したり、複数のコモンイベントをつなぎ合わせて自作システムを構築することになります。『影明し』、そのための工夫やアイディアがギュッと詰まっています。
ゲームを作ることはゲームを遊ぶのと同じぐらいおもしろい。
それを思い出せてくれるような名コード揃いの作品でもあるのですね。
ツクール2000作品『ダーリン菊一文字』
深いゲーム哲学をうかがわせるFoomalさんは、ツクール2000でもハイテンポなRPGを発表されています。VIPRPG 2017紅白へ投稿され、総合2位を獲得した『ダーリン菊一文字』です。
こちらはツクール2000のもともとの戦闘システム、いわゆる「デフォ戦」ですが、高度なカスタマイズがなされており、自作化した方が早かったんじゃないかというレベルで手が入っています。
入魂の戦闘が楽しいのはもちろん、効果音なども選び抜かれた演出で、宝箱を開けたり会話をしたりするだけでも操作の手応えが抜群です。
もう、ボタン1つ押すだけで気持ちが良い。そしてそれは、作者さんがゲームの楽しさとはなにかを考え抜いているから。
リードミーにあるヒントから見に行くことのできる「作者部屋」なコーナーでそのあたりは、詳しく知ることができます。ウディタやツクールと言った、エディターの垣根を超えた「ゲームとは」「ゲームの楽しさとはなにか」の示唆がみなぎっているでしょう。
全体攻撃で敵を一掃するのは気持ちが良い。だからそのようにデフォ戦をアレンジしている、とさらりと言ってのけるカッコよさ。静かな情熱にあてられて、こちらも制作意欲が刺激されてなりません。