ウディタは2DのRPGエディターなわけですが、使う人次第でなんでもできます。疑似3DのDRPGだって何作も出てますし、今回紹介する作品はなんとウディタで作曲ソフトを作った屈指のツワモノ。
ウディタで作曲できちゃった
https://moppysound.wixsite.com/wdiquencer
こちらの『ウディケンサー』が、もっぴーさうんどのもっぴーさんによるウディタ製の簡易作曲ソフトです。
ざっくり言えばDTM用のDAWソフト。
DAW(Digital Audio Workstation)というソフトを主に使用して、自室の卓上で音楽を作ってしまうことをDTM(デスクトップミュージック)というわけですが、『ウディケンサー』はそのDAWをさらにお手軽シンプルにしたイメージです。
『ウディケンサー』の操作は、基本マウスクリックで楽器を選び、音符のブロックを置いていくだけ。
滅茶苦茶に操作しても曲っぽいものが出来上がります。スゴイ。
フリーソフトであってもDAWはインストールから最初の一音を鳴らすまでが非常に敷居が高くて大変なのですが、『ウディケンサー』は Game.exe を起動したらカチカチッで、もう出音できます。
すごいお手軽。
作ったものはtxtファイルとして書出&読込できます。ウディタユーザーの立場で「どうやれば作れるんだ……?」と考えるのも楽しい作りこみ。
搭載の音源も良質です。
ぽちぽち触ったら結構良い音が鳴ってくれますし、ただそれだけで気持ちが良い。まさに音を楽しむツール。
簡易DAWではありますが、ゲームでもあるわけです。
作曲ソフトとしてのポテンシャル
ウディタ製ですから、他のウディタ製ゲームに搭載して、作曲したスコアを演奏することもできます。
そのようにして作られたのが、第6回ウディコン総合【9位】『うさりずむ』(ぴけさん)。
実は『ウディケンサー』は、音を長く伸ばすこと(ロングトーン)ができません。
ピアノだろうとホルンだろうと、打楽器のように短音を刻んでいくことになります。
テンポ調整もできるものの、どうしたって飛び跳ねるような曲調になってくるわけで、そこでメインキャラクターをうさぎに据えた『うさりずむ』は、『ウディケンサー』とベストマッチしているのです。
ツールの癖を強みに変えるアドリブ……作品を通した作者さん同士の見事な対話……激熱です。
ロングトーン以外でも、作曲ソフトとしては、そのシンプルさゆえに制約が多いようです。
ですから、「DAWってなに?」という方の入門にむしろぴったり。
できること、やることが多すぎて迷うのがDAWなのです。『ウディタユーザー』で理解が深まったところで『Domino』や『ピストンコラージュ』など、他のフリーソフトのDAWへステップアップしていくのが良いのではないでしょうか。
ちなみに『ピストンコラージュ』は、あの伝説のフリゲ『洞窟物語』の開発室Pixelさんが自作して使っていた作曲ソフト。
『Domino』も、作者はドット絵制作ツール『EDGE』でも知られるTAKABO SOFTさんだったりします。
こういうつながりがあるから、ゲーム音楽の話題もおもしろいものですね。
ウディタで自動作曲できちゃった
『Deep Blue Juke』
https://moppysound.wixsite.com/deepbluejuke
こちらももっぴーさうんどさん製の作曲ソフト。
ただし、作曲するのはソフト自身。つまり自動作曲ソフトなわけですね。起動しておくだけで心地よいアンビエントなBGMを提供してくれます。プレイヤーが行うのは音量調整ぐらい。
作者さんのブログでその仕組みが解説されています。
先行する他の自動作曲ソフトの概観もされいて、読み応えも抜群。
素人には自動作曲なんて魔法のように感じられますが、プログラムで作れるということは、音楽も理論に基づいたロジカルな分野ということ。
このあたりに興味のある方には大変おもしろい記事かと思います。